『田園の詩』NO.116 「乾シイタケ」 (2000.8.1)


 国産乾シイタケの復権を目指して、先日、大分市で「全国振興大会」が開催されました。
乾シイタケといえば、大分県は日本一の品質と生産量を誇っています。

 これは地元びいきの評価ではなく、実績からいっても、「第48回全国乾椎茸品評会」で
今年も農林水産大臣賞を二人が受賞し、団体部門でも過去34回も優勝しているのです。

 国東半島の古寺や石仏を訪ねて、知人を案内することが時折ありますが、お土産屋の
店先に大きな袋の地元の乾シイタケが並んでいるのを見て、皆さんビックリ。「こんな
立派なものが、こんな値段で・・・」と、沢山買われるのはいうまでもありません。


       
    昨年の年末から今年春まで、シイタケが沢山取れました。ほとんどは、生シイタケ
    で食べたり、知人に差し上げたりしましたが、少し自分で乾シイタケをつくってみました。
    天日に干したり、ストーブで乾かしたり、形は良くないですが、まあまあのができました。(10.3.25写)



ところが、更に値段の安いものが本場・大分でも流通しています。それは中国産で、「価格
では太刀打ちできない」と生産者は嘆きます。近年、中国産の多量の流入で乾シイタケの
価格が全体的に下がり、採算がとれなくなってきたのです。

 商品には「価格と品質」のバランスがあります。中国産も最初は品質が悪かったようです
が、徐々に技術力が向上して、ラベルによる区別がないと素人には分からなくなりました。

 安価な外国産による国産品の打撃、という構図はいろんな分野の製品においても顕著に
なってきています。

 時折、私の作っている筆のことを心配してくれる方がいます。「乾シイタケとは反対で品
質が年々悪くなっているから大丈夫」と私は答えます。現在の中国筆の生産体制では品質
向上は難しいかもしれません。(最近、蘇州の工場を見てきたのでいつか詳しく報告します)

 「全国振興大会」では、将来展望で熱い議論がなされたようです。新聞で「生き残りへ更
なる品質向上がポイント」と指摘されていました。受賞した乾シイタケはどれも極上品です。
簡単に「更なる品質向上を」といわれても生産者の立場からすれば限界があるでしょう。

 結局、消費拡大こそが最大のポイントだと思います。大分に来られて、安くて質の良い
乾シイタケを沢山買い求めて下さい。美味しいですよ。  (住職・筆工)

                    【田園の詩NO.】 【トップページ】